令和6年度事業計画【基本方針と運営指針】 【令和6年5月】
■基本方針
昨年度は、新型コロナウイルス感染症が5類相当となり様々な活動が活発に行われ、インバウンドも復活してきた。
一方、今年の元日に発生した能登半島地震では多くの方が犠牲になり、いまだに多くの方が避難所生活を余儀なく
されており、早期の復旧復興が望まれる。また、ロシアによるウクライナ侵攻は2年を経過しても収束の兆しが見え
ず、2023 年10 月にはハマスによるイスラエルへの攻撃をきっかけとし、イスラエルによるガザ地区への攻撃が激化
し、世界は分断と対立が進み、様々なところで武力衝突の危険が高まっている。このことが世界経済に様々な影響を
与え、先行きの見通せない不安定な状況を生み出している。日本においては資源高に端を発した物価上昇が生活を直
撃しており、全ての事業者において賃上げを実施できるかが問われている。このような状況にもかかわらず、企業や
政治において信頼を揺るがす事件が多発しており、改めて信頼回復が強く望まれ、われわれ自身も改めて襟を正すこ
とが求められる。
岡山県においては、今年は全国植樹祭、瀬戸内海国立公園90 周年記念式典、森の芸術祭等が開催され、次期総合計
画を策定する年でもある。2025 年に「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマに、「未来社会の実験場」をコン
セプトに開催される大阪・関西万博は海外パビリオンの建設が遅れるなど準備に懸念があるが、瀬戸内国際芸術祭、
おかやま芸術交流の開催年でもあり、岡山地域の発信、発展に資する取り組みをタイアップして実施できるよう準備
をしていきたい。
(一社)岡山経済同友会では、提言書「地域全体で取り組むSDGs 先進県へ」の実現に向けて、会内外と連携して
SDGs の推進に積極的に取り組んできた。「おかやまSDGs アワード」は4回を数え、企業や各種団体に限らず大学
や高校からも応募があり、お互いのネットワークの構築にも寄与してきた。また、昨年初めて実施したSDGs フェア
には多くのブース出展とステージ発表があり、岡山のSDGsの取り組みを網羅的に実感できる場となり、様々なコラ
ボレーションも生まれている。生徒や学生のブースも多くあり、教育面からも評価される取り組みとなっており、今
後も継続していきたい。
この1年の状況を鑑みて、改めて根本はすべての人の人権を尊重することであると感じた。ユネスコ憲章前文に示さ
れた「戦争は人の心の中で生れるものであるから、人の心の中に平和のとりでを築かなければならない。」は今こそ
重要である。人はそれぞれ違う、文化も違う、その違いを相互に理解し、認め合うこと、そのための教育の重要性が
示されている。違うものの相互理解は困難なことではあるが、まずは身近なところからお互いの違いを理解し、相互
依存し、協力して平和な地域社会をつくることが必要である。大原總一郎氏は1954 年に設立した高梁川流域連盟の趣
意書でこのことを示している。DX 、GX をはじめ技術革新が進めば進むほど人間とは何か、社会とは何か、幸せの本
質を突き詰めたイノベーションが必要になる。今後も提言書を指針に、「SDGs と人間の幸せ」をテーマに、相互理
解をベースとした地域課題解決のプラットフォームづくりに会員とともに取り組んでいきたい。
岡山には産官学金言民による協働の場として、おかやま円卓会議や岡山地域発展協議体、大学コンソーシアム岡山
等があるが、さらなる機能強化と充実を働きかけたい。現在の地域課題は行政や経済界、大学や市民団体がばらばら
で対処したのでは解決せず、真の連携、協働が必要である。それぞれに異なる文化を持っているが相互理解を進め、
持ち味を生かし合い協働して取り組む土壌こそが地域創生の根幹である。また、持続可能な地方創生には次世代こそ
が鍵を握る。次世代がこの地域で仕事をし、この地域をより良い地域にするという意思と行動がなければ持続可能な
地域も地方創生も実現しない。学校や行政とも連携して子供たちが地域課題解決の主体者として関わる場を設ける必
要がある。文部科学省が学校に提示した、社会に開かれた教育課程の実現は地域社会全体の課題であることを自覚
し、経済界としても主体的に関わっていく。大学や教育機関と関わるコミュニティを構築し、次世代と共に育ち合
い、地域づくりを行う流れをSDGsSDGs、地方創生と絡めながら構築していく。
■運営指針
1.持続可能な地域づくり
・SDGsSDGsやDX 、GX に関わる先進的事例の聴講や外部講師による講演等を通じ、実践事例を研究し、各委員
会や 会員の活動に反映させる。
・産官学金言民と連携しながら地域循環共生圏の実現、持続可能な地域社会や企業のあり方、社会課題解決型
ビジネス等について調査・研究し、その内容を共有・発信する。
・地域で育まれた風土、文化・歴史、スポーツ等を活用し、多様性を包摂する地域活性化や観光に繋げていく
ことを探る。
・「おかやまSDGsSDGsアワ-ド」「おかやまSDGsSDGsフェア」等の継続的発展に向けた取り組みを支援する。
・気候変動への対応やカーボンニュートラルに向けたエネルギー問題、災害時の備え、海ごみ問題等の環境問
題について理解を深め、災害対応と併せ地域と連携して行動する方法を検討する。
・地域課題解決や企業の生産性・付加価値向上および働き方改革に繋がるDX に関する調査・研究に取り組む。
・持続可能な社会づくりに向けたイノベーションを発掘し、育てる環境づくりを推進する。
・コロナ禍やデジタル田園健康特区構想で重要性が明らかになった医療の地域包括的な連携の仕組みづくりを
推進する。
・大学の高度人材をニ-ズのある企業とマッチングするスキ-ムの検討に取り組む。
・地域活性化のモデルとなる海外の先進事例を視察し、国際感覚の醸成に努める。
・各地の経済同友会や各種団体と情報交換・交流を行い、新たな地域づくりに活かす。
・大阪・関西万博の情報を収集し、おかやまの発展に活用する方法を考える。
2.明日の郷土を担う人づくり
・県内の大学等に講師を派遣し人材育成に努める。
・県内の大学等のインタ-ンップ制度に協力する。
・岡山大学産業経営研究会および岡山県産業教育振興事業(高校教諭等)へ研究助成を行う。
・産学官連携による教育フォーラムを実施する。
・SDGsSDGs推進をテーマに高校生への「おかやまSDGsSDGsマップ」「BeLiveBeLive」事業をサポートする。
・大学コンソーシアム岡山の組織強化と活用を推進し、次代を担う人材の育成と地域課題解決のプラットフォーム
を構築する。
・教育委員会等との連携を深め、社会に開かれた教育課程の実現に積極的に寄与する。
3.強靭な組織づくり
・適切な予算管理とスケジュール管理を行い、提言等を見据えた計画的な事業運営に努める。
・会員の参加意識向上に繋げるため、運営面のデジタル化に取り組む。
・会員構成や組織運営のあり方を検討し、持続可能性の高い体制づくりに努める。
・ホームページ等を活用し、活動内容の発信を継続的に実施する。