一般社団法人 岡山経済同友会 okayama association of corporate executive

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令和7年度事業計画【基本方針と運営指針】                        【令和7年5月】

■基本方針


 選挙の年と言われた昨年度、多くの国で政権与党が敗退する中、日本においても自民党が衆議院選挙で敗退し、
少数与党としての政権運営を余儀なくされている。米国では今年の1月からトランプ2.0がスタートし、多くの国
でもポピュリズムの流れが顕著となっている。これは、グローバル化の進展による中間層の疲弊、難民の増加、
インフレ等への不満が重なり、選挙に反映された結果と言われ、改めて社会での本音の議論の必要性を感じた一
年でもあった。
 そのような中、日本経済は世界経済の回復とインバウンドの増加などにより、比較的順調に推移してきた。春闘
では33年ぶりの賃上げが実現し、こうした動きを受けて、10年続いた日銀の異次元緩和の政策にも終止符が打たれ、
金利のある世界に復帰したと言えるだろう。巳年は「再生と変化」の年といわれるが、このような変化の動きを止
めることなく、新たな局面に踏み出していく年になる事を期待している。
 その切っ掛けとしてはまず、今年開催される未来社会の実験場である大阪・関西万博、現代アートの祭典である瀬
戸内国際芸術際、おかやま芸術交流など、この地域に注目が集まる年であり、更にはファジアーノ岡山のJ1昇格もあ
り、地域の活性化を期待したい。
 次に、SDGsに引き続き取り組みたい。岡山経済同友会ではここ数年「持続可能性」をキーワードとしてSDGsに取
り組み、県内へ周知徹底してきた。5年間続けてきた「SDGsアワード」は、企業、各種団体、大学とのネットワーク
構築に寄与し、本来の目的を達成したと言える。これからは「SDGsフェア」を継続支援していくことになる。日本で
は古来より商売の仕方として「三方よし」があり、“自己”や“顧客”の利益だけでなく、“社会全体”の利益も考
える必要を教えている。SDGsを“社会全体の利益を計る物差し”として考えていきたい。戦後80年を迎えた今も、ロ
シアのウクライナ侵攻やイスラエルによる中東での戦闘など、世界では戦いが続いている中、「日本原水爆被害者団
体協議会」がノーベル平和賞を受賞したことは、改めて平和である事の大切さを考える機会になったが、SDGsの取り
組みも平和があってこそである。
 そして更に、「大学コンソーシアム岡山」の組織強化と活用による新たな実績作りを目指したい。その取り組みの
ひとつとして、大学コンソーシアム岡山の活性化を目指し、『若者が夢を持って活躍できる岡山への転換』を提言書
として取りまとめた。岡山には18の大学があり、約4万人の学生と3900名の教員が在籍している。この若者の力と知
の集積を活用することで、地域のイノベーション推進と活性化を図りたい。
 最後に、SDGs達成の過程や大学コンソーシアムの活用を通して「ウェルビーイングを実感できる岡山」を目指した
い。その実現のためには、これまでの枠を超え、世代を超え、社会活動における全てのステークホルダーが持続可能
な社会に向けて、自ら率先して変化していくことが必要であろう。まさに、現状の課題への対応を進めると同時に、
将来の新たな価値の創造に向けて、長期的な視点に立脚した戦略の創造と実行すること、つまり「両利きの経営」を
実践することが重要となる。



■運営指針


1. 持続可能な地域づくり
・先進的事例(SDGs、DX、AI、GXなど)の聴講や外部講師による講演等を通じ、実践事例を研究し、各委員会や会
 員の活動に反映させる。
・産官学金言民との連携により、持続可能な地域社会や企業のあり方、社会課題解決型ビジネス等について調査・
 研究し、その内容を提言する。
・持続可能な社会の実現に向けて、経済成長と地域課題を解決するイノベーション創出の環境整備を目指すと共に、
 イノベーションの担い手であるスタートアップの育成を推進する。
・地城で育まれた風土・食・文化・歴史やスポーツ等を地域の活性化に繋げる。
・「おかやまSDGsフェア」等の継続的発展に向けた取り組みを支援する。
・気候変動、カーボンニュートラルやエネルギー問題、災害時の備え、海ごみ間題等の環境問題について理解を深め
 ると共に、地域との連携を目指す。
・コロナ禍やデジタル田園健康特区構想で重要性が明らかになった、医療の地域包括的な連携の仕組みづくりを推進
 する。 ・大学の高度人材を、ニーズのある企業とマッチングするスキームの検討に取り組む。
・地域活性化のモデルとなる海外の先進事例を視察し、国際感覚の醸成に努める。
・各地の経済同友会や各種団体と情報交換や交流、周囲の同友会との広域連携を通して地域の魅力向上を図る。
・大学コンソーシアム岡山に働きかけ、若者にとって魅力ある地域のあり方を模索し、地域活性化につなげる。
2. 明日の郷土を担う人づくり
・県内の大学等に講師の派遣、インターンシップへの協力などを通して人材育成に努める。
・岡山大学産業経営研究会及び岡山県産業教育振興事業(高校教諭等)へ研究助成を行う。
・産学官連携による教育フォーラムを実施する。
・SDGs推進をテーマに高校生への「おかやまSDGsマップ」「BeLive」事業をサポートする。
・大学コンソーシアム岡山の組織強化を提言すると共にその活用を推進し、次代を担う人材の育成と地域課題解
 決のプラットフォームを構築する。
・新たな成長分野への人材の流動化を目指して、リカレント教育を推進する。
3. 強靭な組織づくり
・適切な予算管理とスケジュール管理を行い、提言等を見据えた計画的な事業運営に努める。
・会員の参加意識向上を目指し、会合や懇親会の充実、運営面でのデジタル化の推進を図る。
・会員構成や組織運営のあり方を検討し、同友会活動の更なる発展に努める。
・ホームページや同友会誌を活用し、活動内容を継続的に発信する。
・岡山経済同友会創立80周年に向けて、これまでの活動をまとめる。