• 2017-08-25

岡山経済同友会と岡山県商工会議所連合会は6月28日(水)、三菱自動車工業(株)取締役会長のカルロス・ゴーン氏の講演会を岡山市中区のホテルで開催した。同社の主力工場・水島製作所(倉敷市)の視察と従業員激励のためゴーン氏が来岡するのに合わせて企画した。ゴーン氏は、水島製作所の生産見通しや地元部品メーカーとの取引、近未来の自動車、変革時におけるリーダーの役割について、約1時間にわたり熱弁。同友会や県内各商工会議所の会員企業、同製作所の取引先、行政関係者ら約750人が聞き入った。岡山での講演は2003年以来14年ぶり。

講演は、共著「カルロス・ゴーンの経営論」(日本経済新聞出版社)などがある池上重輔早稲田大商学学術院教授や会場からの質問に答える形で進行。講演の冒頭、最前列にいた松田久代表幹事がマイクを手に、「県内には水島製作所を支えてきたサプライヤーがたくさんいる。40万台の生産能力がフルに活用されるのはいつのことか」「電気自動車の登場にみられるように、今後、自動車の形が変わっていくだろうが、サプライヤーにはどんな技術力が要求されるか」などと問いかけ、口火を切った。

ゴーン氏は、水島製作所について、2017年度中にRVRの生産を岡崎工場(愛知県)から移管するとともに、軽自動車の生産に一層力を入れる考えを示し、「生産台数は毎年のように増えていく。年間40万台の生産能力は必要だ」と強調。県内部品メーカーとの取引にも触れ、「向こう3年間で6割拡大する予定。県内のサプライヤーのほとんどは勝ち組になる。競争力の維持、向上に引き続き務めてほしい」と述べた。

三菱自への資本参加がM&Aではなく、日産・ルノーとのアライアンスの形をとった理由にも言及。三菱自とダイムラークライスラーを例に、「自動車業界ではM&Aはいずれも悲惨な結果に終わっている。アイデンティティ、ブランド、文化、地域社会が大事」との認識を示した。さらに、「三菱自には三菱自のままでいてほしい。その伝統に誇りを持ち、自ら改革してほしい。日産もルノーも応援する。私たちは対等なパートナーだ」と力を込めた。

自動車業界の将来に関し、AIをはじめとする技術の進展を挙げ、「革新的な技術により、過去になかったくらい大きな変化が起きている。10年後の車は今とは全然違ったものになる。電動化や自動運転が進み、つながる車も増えていく。交通手段というより、個人の『モバイルスペース』になるだろう」と展望した。

また、変革を遂げるために必要な条件として、「変革の目的を会社のすべてのレベルで共有すること」を挙げ、「人は変化を嫌う。リーダーは状況を診断し、何をすべきか、想定される成果は何かを考え、従業員に繰り返し説明しなければいけない」と話した。

会場では、ステージの両脇にスクリーンを設け、身振り手振りを交えて熱く語るゴーン氏を大写しにした。同時通訳もあり、参加者は専用の機器を身に着けて聴いた。

最後に、松田正己代表幹事が「アライアンスの形をとる理由として、相手企業のアイデンティティ、ブランド力、文化、そして何より地域社会を大事にするという言葉があり、安心した。さらに、サプライヤーとの取引を向こう3年で60%アップさせるという話もあった。大変心強い。元気をいただいた」とあいさつし、締めくくった。

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